[ 少し前、皆が怪我人の介護をしている其の頃、ハーヴェイは離れた廊下で使用人と会話を交していた。]
……そうですか。では、其の様に。
[ 医者を呼ぼうにも、今から山を下りるのでは流石に危険が伴う為、夜が明けてから向かうという結論に達し、話を終えた使用人は青年に一礼すると広間へと向かっていく。]
然し……、厄介事は御免なんだが。
[ 其の後ろ姿が見えなくなってから小さくぼやき、そろそろ帰るべきかと思う。
自ら掌に視線を落とせば、泥や血が付着した儘だった。彼の男を運んだ時に付いたものだ。]
……。
[ 布で其れを拭い取り今日幾度目の溜息を吐くと、広間には立寄らず*湯浴みに向かった。*]