─どこかの路地裏─
[立てられた三つの指を戻しながら、ライヒアルトの挙動を見詰める。鶸色は冥い常盤緑を見返し、口許の朱は弧を描く。覚えたと言う言葉には、敢えて何も返さなかった]
ええ、色々ありますけれど……具体的な対象はそちらの想像の通り、とだけお答え致しますわ。
そちらが承諾して頂けるのでしたら、他の対象の時もお手伝いして頂きたいところですけれど。
[対象を口にしないのは誰かが聞いて居るのを警戒してのこと。警戒するならばこのようなところで交渉するのは間違っているとも思えるが、そこはわざとらしい]
条件としては悪くないと思うのですけれど……如何かしら?
[再び窺うように鶸色が向く]