叩き足りないくらいだ、この馬鹿。[出来たばかりの左の手で 叩いたばかりの額を再度叩くふりをする。 なにやらむくれて睨んでくるが、 あーあー聞き入れるつもりなんてありませんとも] お前みたいなの――[助けようなんて思った俺が馬鹿だった。 と。言いかけた言葉を遮ったのは、ずいぶんと主張の激しい腹の虫の音] ……。[ぱちくりとしている内に、 目の前の赤いのは、顔まで赤くなった]