……え、俺?
[言葉が紡がれる間、暗翠は何度も瞬く。信じられぬような声色。その反応は幼馴染二人からされた行動に対するものとはまた少し違っていた。呆けている間にイレーネの言葉は呪へと変わり。背を向けて走り去ってしまう]
『……良いの?あのままで』
[固まったままの盟約者に対し灰銀が尾を揺らしながら呟く。その言葉は固まっていたライヒアルトを覚醒させ、その背中を押した]
……眠気ぶっ飛んだ。
良いわけ、ねぇだろっ!
[瞬時に樹の根元から立ち上がり、駆け去ろうとするイレーネの後姿を追う]
[幼馴染二人から想いを行動で示された時に抱いた感情は困惑。けれどイレーネから言われて抱いた感情は──喜び。その違いによりはっきりと、自分の気持ちを理解する。そうだ、俺は──]
イレーネ、待てっ…!
[走り去るイレーネの後ろから、その腕を掴もうと己の腕を伸ばした]