[サーシャの左頬を包むように右手が添う。
指先から掌から伝うのは肌の感触。
けれど他の箇所と違い滑らかさとは遠い感覚。
ためらいなく触れられるのはそれが古いものであると感じるから。
柔らかな手つきで撫でていればサーシャの手が重なり動きが止まる]
――…痛い?
[涙声に思わずそう声を向けるのだけど、ややして聞こえたのは感謝の言葉]
あの時、迎えに来てくれてありがとう。
最期の願い、覚えていてくれて、ありがとう。
[オリガが死んだその少し後、大浴場での事を思い出し
あの時は言えなかった言葉を伝える]
泣いているあなたの涙ぬぐえないのがかなしかった。
泣かせてしまうことになったのが、かなしくて。
[子供のままでいたのはその後悔もまた大きく]