[微かに笑みがつくられた。]
翼はあるのだろう。
飛ぶが好い。
[足は先ず、急ぎ、モニタールームへ。
内に入り、中に居る者の姿を確認して―― ]
ティル=エルフテンス!
[名を呼んだ先へと、ポケットから取り出した小型端末を投げた。
末端に知らされているものなどたかが知れているが、この敷地内の、己の知り得る全ての情報を詰めたもの。
其処には、地上へと繋ぐパスコードも記録されている。
地下へ往く為のものは知らされていない、が、手がかりにはなるはずだ。
受け取ったか否かを見る間もなく、次いで、駆ける先はエレベータルーム。
「彼ら」が動かないはずはなかった。]