[距離を取ったその場所から見えるのは、幾つもの攻撃を受けて尚動く白の巨体。
幾分動きは鈍っているようにも見える、けれど]
……あまり長引いてもかわいそうね。
ごめんなさい、少し行ってくるわ。
[立ち上がり、裾を払って。
共に離れていた同行者へと笑みを落とす]
[跳ねる様に砂を蹴り、彼らより少し距離を取る場へと。
そっと包み込むように広げた両の掌の中には真黒の華]
失礼するわね。
――さあ、はじめましょう。
[一枚。二枚。華の端から離れ舞い上がる黒の欠片。
一見する限りにはただの花弁でしかない其れ等が、不意に奔り]