─中庭・屋台村の隅─…そうだよ、俺の気持ちも聞かないで。[瑠璃が伏せる様子を見つめたまま。紡いだ言葉に怒りの声色は乗っていなかった。瞳を伏せるイレーネに、口端が持ち上がるのが見えただろうか。掴んで居た腕を自分の方へと引き寄せ、イレーネの身体を抱き締める]ありがとな。先に言われちまったのが悔しいけど…。俺もイレーネが好きだ。[そう告げたライヒアルトの表情は、いつもの屈託のない、とても嬉しそうな笑みだった]