― エントランス ―
[此処は『鬼』の居る場所だとアレーナ>>310は言う。
そんな『鬼』から返ってきた頷きは、生き残ったふたりが共には在れぬということを示すもの。
そして、そのふたりが「仲間」だったということも――。]
……そうだね。
「仲間」だって思ってたのも、『ゲーム』の中でのこと。
今はもう、貴女とあたしは「仲間」じゃない。
[「偽る必要」とはそういうことだと、メーフィエは己に呟く。
ほんの少し、泣きそうに瞳が震えているのが自分でも判ったけれど。
それ以上は、何の感情も面に表さなかった――堪えた。
目を伏せるアレーナ>>311の表情も、何の感情も感じさせないもの。
そんな彼女が、やはり無感情な響きで続ける言葉を、メーフィエはただ黙って、聞き遂げた。]
うん。覚えてるよ。 ――――…、
[彼女がベルナルトに借りを返す心算でこんなことを口にし出しているなどと、メーフィエには知る由は無かった。だから――。]