そして三つ目。
俺はこの考え方が最も興味深いと思ってる。
[淡々と二つ目までの説明を為し]
[三つ目の話をし始めたところで一旦言葉を切る]
[手巻きタバコを口元へと戻し、紫煙を吸い込み再び吐いて]
[また口元から手巻きタバコを離してからようやく言葉を紡いだ]
…記憶により生死の概念を考えるもの。
誰か一人にでもその人の記憶が残って居れば、その人は生きていると言う考え方。
この世の誰にも記憶されなくなって初めて、その人は死ぬのだと言うものだ。
一見馬鹿げたような考え方だが、考えてみれば人に限らずこの世のものは誰かに『認識』してもらわなければその存在として見てもらえない。
仮に誰の記憶にない「もの」があるとして、それはこの世に存在すると言えるだろうか。
生き物であれ物質であれ、『認識』されて初めてその場に存在すると言えるのではないか。