……ああ、そうだ。頼んでおいた、招待状の手配は済みましたか?
「はい、ご指示の通りに」
そうですか。
……レッグくんはともかく、ナターシャさんには、驚かれますかねぇ……。
[自身の本業の事は教えていなかった事を思えば、突然送られてきた招待状は驚きの元となり得るか。
そんな事を考えつつ、メールをチェックしていく。
激励のメールの数は、いつかよりも増えていた。
区画閉鎖の一件を案ずる内容のものも多い。
それらを一通り読み終えると、一つ、息を吐いた]
ありがとう。ああ、返信はちゃんとしますよ。
……すみませんが、コーヒーを淹れていただけますか?
私が手を出すと、惨状になってしまいますので。
[冗談めかした言葉に、黒髪のメイドは眼鏡の向こうの瞳を瞬かせる。
自身の不器用さ加減については、今の所は口で説明するに止まっていた。
未だ、その実情を見ていないのは果たして幸か不幸か。それは誰にもわからない]