[「人」としてゲーム盤を去るということ。
それは他の者と同様に死を以て為されるもの、という可能性。
もし「仲間」であることさえも初めから嘘だったならば、それも大いにあり得ることだった。
騙していたのはアレーナだけでなく、おなじ『鬼』のベルナルトもそうだったのかもしれないと。
見えざる霊の眼差し、そしてその本心にまで気づくことないまま、思う。]
バカみたい、あたし。
一緒に生き残る心算で、ここまで来た、のに。
[小さく哂い浮かべた口許と、両目に滲みだす涙。
理不尽さと悔しさから涙が滲んだのだと、メーフィエはこの時薄らと思った。
それ以外の理由なんて、この時は、意識しなかった。]
酷い人、だよ。
[何時か女主人に零したのとおなじ言葉を口にしながら、アレーナ>>350がゆっくりと距離を詰めてくるのを、ただ瞳震わせながら見つめた。
『ゲーム』が終わり全てが決した今、メーフィエの手が再び剣の柄に届くことは無く。
ただ、この場での死を、思った――けれど。]