…ああ、言い忘れてた。
今お前の頭を覗いた『失われた右眼《テュフェルザウゲン》』ってのは厄介な代物でな。
覗いた記憶を半永久的に蓄積しやがるんだ。
だからてめぇが嘘の証言をしようとしたって、記憶を引っ張り出して照らし合わせて見抜くことだって出来る。
下手に足掻かん方が良いぜ。
[修道士の様子では足掻くこともしないだろうが]
[けれどその言葉で己の中に修道士の記憶が半永久的に残ると言うのが伝わるだろうか]
[土産話の内容を彼がきちんと聞いていたとしたら]
[男の言わんとするところが伝わるかも知れない]
[振り返らぬまま、じゃあな、と声をかけると]
[そのまま外へと出て行った]