え、………?
[胸に刃が立てられることは無く、ただ頬を緩く撫ぜられただけ。
そして刈り取られたのは命では無く、少しだけ長い髪の一房。
その挙動の一つひとつに、微かに身が震えたのを覚えながら。
けれど避けることも儘ならぬまま、事が終わるまでその場に縫い止められていた。]
……どう、して、
[――あたしを殺さないの?髪なんて持っていくの?
――そんな風に、優しく笑うの?
用は済んだと告げるアレーナに対して問う声はか細く、踵を返す彼女を引き留めるまでには至らない。
こうして、メーフィエはその場にひとり残された。]