……さて、と。[メイドが部屋を辞すと、向き合うのはピアノ。長年慣れ親しんだ物はあの出来事で焼け落ちてしまい、今あるのは同じ型の違う物。その鍵盤に、ゆっくりと、指を落として]……死が降りかかるのであれば、享受する。けれど。生が続くというのなら。[音に紛れ、零れ落ちるのは小さな呟き]……私は……生き続けます。[その言葉は、誰へと向いたものなのか。答えは露草色の奥に、そして、紡がれる旋律の奥に隠されて**]