[故郷を追われ、小物のぬいぐるみだけを抱えて、ひとりぼっちで当ても無く逃げてきた幼い少女のように。メーフィエは毛皮のコートをぎゅっと抱きしめながら、屋敷の外に出て行った。乾ききった筈のコートが、ひどく、ひどく濡れているのを感じたけれど。辺りに漂う霞が、そんな涙痕も紛らわせてくれると。そう、思った。**]