[扉を示した後、イザベラは奥へと入って行く。少女は後には続かず、手前の大きい部屋に留まった。共に入るべきでは無いと、何となくそう思ったために]
[イザベラを待つ間、少女は何をするでもなくその部屋に居た。部屋の中を順繰りに見て、一点を見て動きが止まる。それはこの部屋の物を見るのではなく、更にその先、この部屋から離れた遠くを見つめていた]
……白い、花……。
緋色の中の、白。
[小さな呟き。瞳は紅紫から滅紫へ。焦点の合わぬ瞳が向いて居たのは、番人が埋められている方向。少女の瞳には、彼女にしか見えぬ夢幻の華が*映し出されていた*]