[状況の転機となったのは、母が病に伏した事。
騎士の頭に相応しくない子を産んだ事は、重圧と軋轢を生み。
王妃が表立てなくなった事で、それらは直接子供へと向けられた。
言葉に不自由するが故に、周囲には知恵遅れと捉えられていたものの、子供の理解力・認識力は年齢不相応なものだった。
『これが次代の王になるのか』
『これで騎士団を率いられるのか』
『化け物に好かれる王子など』
言葉と共に紡がれる負の感情。
魔よりも武に重きを置き、魔法の使い手を軽んじる傾向のある国には子供の力を正しく解する者は限られ。
向けられるそれら、周囲が自身に抱くもの。
それを理解した子供は、いつか、笑わなくなった]