[笑わなくなった事を案じつつ、それでも水晶龍は近づくを躊躇っていたが。
『その時』には、とっさに動いていた。
子供の力を、正しく理解してた数少ない者──宮廷魔導師の、父たる王への進言。
正しき筋道を学ばせたなら、王子の力は何よりも心強いものである、と。
どうか正しく理解し、受け入れて欲しい、と。
しかし、武によって長きを安定を築いてきた国を護る王は、それを受け入れる事ができず。
『どれだけ強き力であっても、剣にてそれを示せぬのであれば、無為』と。
紡がれた、本心を押し殺した拒絶。
それを偶然耳にした子供が何を思ったか。
恐らく、それは当人にしか知れぬ事]