[早瀬は時に大きく跳ねる。
衝撃。銀の獣の記憶が揺れる]
[故郷に戻って、父の研究を引き継ぎたい、と。
伝えた時の叔父夫婦の困惑の意味は、当時はまるでわからなかった。
どうしても、というならば、と。
叔父が、世話になる先としてあげたのが、ギュンターだった。
──12年前の経緯を知る彼であれば、甥が再び目覚めぬような環境を作ってくれるだろう、と。
そんな想いがあったことは、知る由もなく。
紹介状を手に転がり込んだ先で引き合わされた、彼の孫娘。
歳を聞いて、苦笑が滲んだ。
母が死んだ時に身篭っていたという、弟か妹か。
とにかく、その子供が生きていれば、同じくらいの年頃のはずで。
──生まれる事なかった弟妹の命を断ったのが自らと、その時は忘れていた、から。
亡くした弟妹の分も、大事にしよう、と。そう、心に決めていた]