─ 森の何処か ─
[不意に、一際大きなうねりが身を包む。
持ち上げられる感触。
それを経て、意識が僅か、現に寄った]
…………。
[ふる、と頭を振る。
声が出ない。コエも出せない。
身体が痛む。
傷を受けた前脚には殆ど力が入らないが、よろめきながらも、引き摺るように、身を起こした]
……俺、は。
[掠れた声で小さく呟く。
どのくらい流れたのか、ここがどこなのかはわからない。
恐らくは未開拓部分のどこかだろう、とは思うのだが、はきとは認識できない。
もっとも、認識できたところで、やる事は変わらないのだが]