あー……そういや、渡しそこなった、なぁ。[ふと、思い返したのは、友と妹へ贈るつもりだったもの。渡す機会を逸したまま、机の引き出しにいれたままの、二つの包み。鳥を象った翡翠細工のお守りと、花の意匠の台座に納まった薔薇水晶のペンダント。先日、研究室に戻った折に、見つけてきたもの]まー……仕方、ねーか。[それどころじゃなかったし、と。そんな呟きをもらして。見上げた空には──銀色の、月]