[共通する話題を探そうとするのだけれど、いまいち、彼女の思考は読み辛くて。ここには呼ばれて来たのか、だとか。一緒に寝ていた、あの少女や猫とは知り合いなのか、だとか。……年齢の話だとか。
ブリジットの意識は白い翼に奪われがちで、すぐには気づかなかったけれど、イレーネの視線が自分の持つ端末に向いているのに、はたりと目を瞬かせる。]
……これ?
携帯出来る、小型の端末で……
わたしは、ノートなんかの代わりにもしているの。
当分帰れないみたいだけれど、勉強して置かないと、
追いつけなくなっちゃうから。
試験も、もうすぐだしね。
[言いながら、文字の並んだ本を指し示しては見せるものの、どうにも、眼前の彼女には縁のないものに思えた。
学校なんて金持ち――或いは強者とも言い換えられる――の道楽、という人間も居はするのだが。決められた時間学び、作られた問題を答え、点数を取る…… ということは、今の世界で「生きる」ことに比べれば、楽なものだった。
別に、負い目を感じる事でも無い、のだが。]