― 回想 ―
何故そこばかりが気に掛けられるのじゃ。
[人狼が結社に探りを入れている可能性を考えて、疑惑を持ったことを隠さず問いかけた]
――!
[ウェンデルが同席しているのに堂々と答えられ絶句した。軽く睨んでから深く嘆息する]
能力の発現に対して代償を負う者は少なくありませんの。同じ例は寡聞にして存じ上げぬが。
儂の力はそこまで強くもなく、30も半ばを数えた頃からは更に衰えてきたので、そうしたものは感じませなんだ。
[丁寧な言葉は相手を霊能者として扱うものだが。役に立ちそうな知識の持ち合わせはなく、すまなそうに言った]
今聞いたのが全て真実であれば。
明日以降は、頼ることになりましょうの。
[最後はそう答えて、出てゆく二人の背をじっと見つめ見送った。
訪ねてくる者が途絶えたら、いつものように巡回に出て、いつものように振舞った。少しでも動揺が減るように、と**]