─ 急流傍>>428 ─
………。
[ビチェにはああ言ったが、実の所、分の低すぎる賭けだとは思っていた。
ここは下の早瀬まで、獣であっても無事に下まで降りられるような場所じゃない。そしてこの季節、水も冷たく、毛皮があっても体力は容易に奪われよう。
何よりエリは片腕…左前脚が使えない。動きを止めるために、アベさんがつけたのだろう傷を銀の鏃で抉った。
水に流される間には恐らく、そこからも、命が]
……ロザ、危ない。
[谷底を覗いて固まってしまったロザが落ちないよう、後ろから腰を引き寄せたりして、下流近くまで来た。
対岸に人影がある。カーロスだ。
人と話すのは得意でないのもあり、そちらは全面的にロザにまかせて。もう少しだけ、無理だろうと思いながらもエリの影を探していた]