― 宿→自衛団詰め所 ―
[話もそこそこに向かう面々達に声をかけて宿を出る。
宿から其処まで遠くない場所に詰所は建っていた。治安を守る名目よりは寧ろ鉱山で採れる瑠璃の産出量を取り締まる事の方が常の仕事ではないかとも娘は感じていた。だからこそ今回の騒ぎで村を掛け回る団員達の姿に違和感を抱くのも当然の事で。
当然、此処までの道のりも前にも後ろにも団員達が付いてきた事もあり、処置の為された手首を撫ぜながら不安そうに娘は俯く。時折脚の歩みが遅くなる事もあり、後ろに居た人とぶつかりもした。娘は謝りながら詰所内へと急ぐと其処には先程宿屋で処刑の取り決めをした自衛団長の待つ執務室へと一向は通される事となる。]
―――ギュンターおじいちゃん
[団員達の鋭い眼光に萎縮こそすれど逃げるわけでもなく。娘の脚が小さく震えるのは恐怖では無く、得体の知れないものに脅かされた人間の空気で。]