[緩やかな左右の動きに頷くように目を伏せる。
息のむ音が聞こえたけれど動きを止めるには至らない。
不意の行動がサーシャを驚かせてしまったかと思うのみ]
サーシャさん。
[泣く声に応えるように名を呼びかける。
耳朶の後ろにそう手は柔く彼の後ろ頭を梳き撫でた。
こんなに純粋に泣けるのは心が綺麗だからだと思うけど
口にすると互いに気恥ずかしくなりそうな気がして言えない。
背に回る腕を感じ、嬉しげな笑みが仄かに浮かんだ。
必要とされた気がして嬉しくなるのは――]
…………。
[彼に必要とされたかったのだと漸く己の心を知り
途惑うように撫で遣る手がふと動きを止めた]