[だから。]あの朝、あんたの姿がみえなくなって。あんたの筏も消えてた時。大変だったんだからね?あたし、大泣きしてさ。もう会えないって、すごくわめいて。お義父さんや皆に、すっごく迷惑かけて。[声は届かない。それでも、淡々と話しかける。]泣きすぎたせいで、目も開かないくらい腫れちゃってさ。そんなあたしにね、お義父さん言ったの。『泣くんじゃない。どこかに行っちまったって。同じ水の上にはいるんだから大丈夫だ』って。[だから。]