―追想/求婚の日―
[それはとても穏やかに晴れた日のこと。
いつものように重装備で出かけた白銀の髪を持つ青年は、通い慣れた道を歩いていた。]
あわわわ、緊張、するなぁ……―――
[いつも挙動不審といえばそうであるが、本日は更に挙動不審に輪がかかっている。
震える脚の所為で、何もないところで転びかけたりしながらも、目的の場所に辿り着くと、心配そうな眼差しのイレーネの姿が扉の外に在った。]
う。お父さん、起きてらっしゃる?
[挨拶もそこそこに、おどおどする紅を瞬かせれば、イレーネは不思議そうに首を傾げながら「ええ」と頷いた。]