あ、あの、その……―――
[対面したその人は、病状が進行していて身を起こすのも億劫そうな状態。寝入る姿は、少し前のゼルギウス自身を連想させた。
横になったまま此方に向く眼差しに対し、コクリと喉をならし、そして]
結婚してくださいっっっ!!!!
[手に握った小さな箱を差し出すと共に、全力でそう謂った
―――……イレーネの父親に向かって。
キョトンとした相手の表情。
外で囀る小鳥の聲がいっそ清々しい静寂。
その静寂を最初に破ったのは誰だったか。
はっと、我に返ったゼルギウスは、己の失敗にやっと気がつく。]