[あの時少女だった女性は、蛹が蝶へと変体するように美しい女性となり。
祖父がアーベルに依頼して作らせた剣と、
クロエが手がけた鞘を身につけて屋敷の裏側にある森の中を、
あの時急流へと消えた青年―銀狼の姿を探していた。
青年の生死どちらかを示すモノはない。
だからこそ、少女は青年が生きている可能性を捨てられない。
青年の研究も、引き継ぐように共に行っていたから。
―余談ではあるが、剣は祖父が夢枕に立って教えてくれたものだった。
女性は祖父と青年と共に花壇に植えた春を告げる花を、今は一人きりで。
少しずつではあるが増やしていた。
――一面の花畑となるよう、目指して。**]