……っ!!
[やられる。
そう感じたオトフリートが目を瞑った瞬間。
彼の周囲から何かがせり上がり、モンスターとの間に割って入る。
驚いたモンスターが怯むと同時に、せり上がったモノから礫のような何かが飛んだ。
飛び出したそれは四方八方へと、周囲に居たモノ達へと無作為に襲い掛かる。
木にぶつかれば打撃痕が残り、モンスターに当たれば悲鳴があがる。
辛うじて死を免れたモンスターたちは、散り散りに逃げて行った]
[その様子を誰かが見ていたのであれば、せり上がったモノの影から紅い絹糸のような長い髪が見えたかもしれない。
尤も、せり上がった何かが霧散する頃には、その場に居るのは腰を抜かしたオトフリートだけだったが]