―ある氷破導師の部屋の前―
「ま、試験落ちたわけではなし。今回は及第点って所かしら。」
[やっとこさ帰ってきたものの、なんとなく入りにくくて入り口の前でうろうろしていたところを背後からぎゅっと抱きしめ捕獲されて連れ込まれた中で、狼はぷらーんと逆さにぐる巻きに吊るされていた。きゅーんと鳴いても当然降ろしてもらえない。]
「ほら、そんな顔しないの。
それにしてもゼルギウス導師がガチンコで負けるなんて…。
面白い所見れて羨ましいわぁ。」
[黒い狼にはその価値がさっぱり分からないのだが。
そんな事を言おうものならより偉い目に合わされるのは理解しているので、きゅんきゅん鳴いてばかりだった。
だってこの後、何されるのかは重々承知しているのだから。]