ン、ン――――…嗚呼、ぁ、見てしまったの、だね
[バツが悪そうにしながら、転んだあの時か、と気づく。羞恥に染まるよりはしまったな、と自分を恥じるようにも印象付けるか。刻印の場所が場所だけにうろたえ始めたミハエルへは、]
あ、わ、好いのだよっ、寧ろ見せてしまって済まないのだよ…
おばあちゃんから誰にも見せちゃ駄目って昔から云われていてね
みだりに明かすと狼が食べにくるぞーって驚かされていたんだ
[どちらが恥ずかしいのか最早可逆で。耳を赤くする少年に、半ば弁解するように娘は説明を始めた。狼が食べにくる、との辺りでがおー、と真似事をして見せる。]
…おじいちゃんと似たような徴だったと思うけど
確か君が――…おじいちゃんを見つけて呉れたのだったね
[物言わぬ亡骸となった祖父を想い、浮かべる貌は愁いのいろ。]