─ 黒珊瑚亭 二階・五号室 ─
そうだったか?
覚えてねーなぁ。
[素直だった>>449と言うのには視線逸らしたまま答える。
照れると言った言葉のままだと態度で示した後笑みに力を抜いて同じ言葉を返し。
それに応じた声には、その笑みのまま軽く肩を竦めた]
いーじゃねーか。
誤解も何も、本心なんだし。
お前が言ってくれたから、こっちも言えたっつーだけ。
[穏やかな声音で返す自身の心を、友は知らぬだろう。
カルメンの父の亡骸を浜で見た時、海を仕事場とするならいつか自分もこうなるかもしれないと、そう心に刻んだあの時からずっと。
海から無事に帰ってこられたと実感させてくれるのは、黒珊瑚亭で迎えてくれる笑顔と。
顔を合わせる友との、気負わぬやり取りだったこと]