……え、と。
[状況を理解するまでに要した時間は、さして長くはなく。
理解したらしたで、どうすれば、と思考がめぐり。
固まっていた時間がどれほどのものか、自分ではよくわからないけれど。
空白を経て、おず、と伸ばした手を傍にあるひとの背へと回す]
(……今だけ、だから)
[同時、心の奥に落ちるのは、言い訳めいた言の葉]
(なすべき事は、見失わない、から、だから)
[今だけは、己が向かうべき先を忘れさせて、と。
そんな願い一つ、内へと沈めた後]
……そんなこといって。
存在全て、呪縛されても、知りません、から、ね。
[拗ねたような声で小さく紡いで、回した腕にぎゅ、と力を込めた。*]