[照れ隠すのは比較的なれているはずだった。軽口で誤魔化して、茶化して煙に巻く。十八番であったそれもこの時ばかりはすぐに出ない。] あー……、[何から言えばいいのだろう。そんな風に思い漏れる響きが一音。ゆっくりと顔をあげ、重ねる視線。その目許には耳朶にもともるほのかないろ。] おなじ花のしるしの相手がクレイグでよかった。 想いをきけて、うれしかった。 気付く切欠になれたことも、しあわせだよ。[へらっと、張りつめた糸が緩んだような笑みが浮かんだ。]