[俺は今もまだ留学生の身分だ。
あの日、教授は用事があって外に出ていたらしい。
あの建物はもう使えないが、研究室そのものは残っている。
ただし、俺はそこには行かない。
今の所属は3区画向こうの別の研究室になっている。
すぐに受け入れてくれた今の先生にも心から感謝している。
あの教授にとって俺は身内を手に掛けた人物だから。
カルロス…甥の命を直接奪った俺が教えを請うのは難しすぎた。
墓へ手を合わせに行った時、教授は何も言わなかった。
俺も何も言わなかった。けれど…事件前と同じように話すことも出来なかった。
だから転属の申請は、俺から出した]