─ 月の腕で想う泡沫 ─
[銀の月の光の内に。
抱かれた獣は、ゆめをみる]
[彼らは、彼女らは、どこかにいるのだろうか、と。
自らが喰らった彼らは。
同じ月のいとし子の手にかかった彼女らは]
…………。
[放っておいたら一日中植物図鑑を眺めていかねない少年を、外へと引っ張り出しに来た黒髪の幼馴染。
その死をはきと認識していたわけではない、けれど。
あの時交わしたコエと、あの場にいなかったこと。
二つを重ねれば、どうなったか、推測するのは容易なこと。
そして、油断していたらぎゅー、として来て驚かせてくれた赤毛の幼馴染。
その命が喰らわれるのを間近に見つつ、しかし、手出しはしなかった]