[先程の、偽り向けた時の様子を思えばこちらを振り向く事はないだろうと思いながらも、名を呼ぶ。酷い人だ>>480と、彼女は言った。それで良い、自分に騙されて良い様に使われたのだと、そう思ってくれれば良い。そう願う通り、彼女はこちらを見る事無く短い別れを告げるだけで、屋敷から足を踏み出していき]さようなら。もう二度と会うことも無いでしょう。(──…どうか、あなたの先行きに幸福のあらんことを)[その背に届かぬ位の、小さな声で「人」へと戻る彼女を想い、祈りを込めた]