…………。
[話が終わってすぐは声が出せなかった。
俯く様子に、相棒が案ずるようにキョキョ、と鳴く。
黙っていてすまなかった、と。小さく紡ぐ祖父の声に、一つ息を吐き出して]
ん……いいよ、それは。
話して楽しい話じゃないのは、わかった、から。
[ふる、と首を振って、顔を上げる。
表情は少しだけ強張っているけれど──そこには、聞いてよかった、という想いがはっきり表れて]
それに、聞けたから。
聞いて、いろんなこと、わかった、から。
[子供の頃から、森に入ると泉に呼ばれているような気がずっとしていた。
けれど、泉に眠っていたものたちは自分を呼び込む事はしなかったから。
それもずっと、引っかかっていた事で。
そんな諸々の引っかかりが解けたのもあるし──何より]