[再び褒められたようだけれど、その言葉に答える余裕はない。
明らかに遠い間合いで振られた剣を、訝しむのも一瞬。
迫り来るのは、明らかに物理現象を超越した力]
んぎっ、マジっすか!?
[右手を着き立ち上がるだけでは間に合わない。
咄嗟の判断で、勢いに乗った側転へと切り替える。
しかしそれよりも一瞬早く、刃は少女の体を駆け抜けた]
ぐう……っ!
[痛みが邪魔をしたか、側転は崩れて不格好に転がる形に。
斬撃は胸の少し下を切り裂いて。
流血が体側を伝う、生温かい感触]
これは――ピンチ、ってやつっすか?
[はあ、と吐き出す息が重い。それでもまだ負けた訳ではないと、精一杯の笑みを見せ]