― 黒珊瑚亭食堂 ―[カルメンが離れて行くのを視線で見送って、其の先に座り込む存在に眉根を顰める。カルメンが声を掛けられるのなら、応じるのなら、其れは此方の存在だと示す事だ][嗚呼、もう、何人][否定はしない。人狼が空腹を満たす為に人間を襲う事も。人間が抗う為に人狼を殺そうとする事も][けれど]――……馬鹿者。[カルメンとヘルムートから視線が逃れる。落ちる紅玉が映すのは、其の色と同じ、紅]