[常に待つ側で在り続けた。
船を出して海にゆき慣れぬ珊瑚漁を行う父に対しても
それを生業とし海に出るアーベルの事も。
最初こそは案じる言葉も掛けただろうけれど何時しかそれを減って
案じる代わり無事戻ればいつも通り迎えてわらう。
不安も安堵も見せること無く気負わぬ言葉を投げ合って]
誤解されたら困る相手もいるだろ、色男。
[いつもの軽口を口にした]
愛多き――ってか?
ま、そうだろうなぁとは思ってたから驚きはしない。
[一人に絞れないと言うアーベルにしたり顔で頷く。
愛に様々な形があるのだから注ぐ相手は一人きりでなくて良いと思う。
受け止める言葉だけ返し小さく笑った]