[それを唱えているのが誰かは、すぐにわかった。同時に感じる、よく知るものの放つ波動の感触]……『絵筆』。戻ったか……。[やれやれ、という嘆息の後、そらへ向けていた手を、そう、と下ろす。『解放』の呪に呼応するように、今いる空間が震えるのが感じられた]どうやら、無事に戻れそう、だな……。ま、俺は無事とは言えんが。[掠めた自嘲の笑みは、近くにいた幼馴染には見えたやも知れず。それを確かめる暇もなく、意識は途切れ、そして──]