[離れる手の気配に薄く瞬きをして最期のあの時にみたアーベルの表情を双眸に映し込む]……はっ。[言われた言葉に軽くわらう。差し出された右手へと一度視線を落としてから考えるように目を伏せ、再び視線を重ねた。彼の手が獣の性もつ自分に向けられるべきではないと思う。過分な望みを抱いてはいけないとも思う]ばぁか。なんでこんな時にそういう事言うかな。[軽口でしめようとおもうのに語尾が掠れた。悩むように柳眉が顰められて、続く言葉はすぐには出ない]