>>537[取られた手。普段は他者に触れられるのは恐ろしいと感じるのに、何故か、それは浮かばず。あるのは生命の母の手に感じるものと近く、それとは違う温もりへの安堵。触れる気配は、真珠の髪の竜皇とよく似て、それよりも優しく思え]……わ。[そちらに意識を取られている間に、手に飛び乗る温もりに、小さな声が上がる。気を抜けば、無作為に『喰らって』しまえそうな小さな生命。こちらをじい、と見つめる円らな黒を、異眸は同じくじい、と見返して]