[エレベーターをじっと見るイレーネの傍、勝負がついたエーリヒが運ばれて来たならばスタッフを襲い(場合によってはエーリッヒごと)エレベーターを強奪する気まんまんで、同じようにエレベーターを見つめていた。
右手首にブレスレットのように巻かれた黒を左手で触ろうと手を動かした時、不意に起きた爆発音。]
ちょ、何…?!
[驚いて壁に手をつくと、その場から移動するイレーネが見えた。
が、埃が目と肺に入り、ゴホゴホと咳き込んで後は追えなかった。
追おうと、涙の浮かぶ顔を上げてよろよろと歩くが、その方向はイレーネとは違ったかもしれない。
よろり、と壁に手をついた時、エプロンのポケットから瓶が転げ落ちた。
ラベルに「C3H5N3O9」「三硝酸グリセリン」「狭心症剤」などと書かれた瓶が地面に激突した時、そこでも再び爆発が起こった]