[ふわ、ゆら、と。
曖昧な感覚を持て余しつつ。
無空を彷徨っていた時間は如何ほどか。
行く先は見えているような気がするけれど。
ただ、そこにいけない理由がひとつ、あって]
……あいつ。
大丈夫……じゃ、ない、よな。
[覇気のない様子は、ある姿を思い起こさせる。
見出す者として審問に赴き──そのまま、帰らなかった父を想う母の姿]
……なあ。
ちゃんと、生きてるか?
[あるべき場所を隔てた現状、声が届くとは思えない、けれど。
どうしても、そう問わずにはいられなくて。
呼びかけた声は果たして、届くか、否か]