[ナイフの刺さった左腕。ピッと紅を横に飛ばすとそれきり滴ることは無く。傷口は然程深いものでは無かったらしい。これも盟約している異界龍の恩恵か]
「ネガティブ ワレ ペットニ アラズ」
……Regrese……
[少女の不満には肩に居た異界龍が答えた。紡いだ呪により異界龍は火球を食らいながらもバレンの下へと舞い戻り。肩では無く負傷した左腕へと取り付いた。火球により熱を帯びた異界龍のボディが左腕の肌を僅かに焼く]
……………。
[呟かれる少女の声に、次で決めに来るだろうことを察する。左手に持っていた槍は右手へと移され、石突を地面へと降ろす]
…………メルカ。
「ポジティブ チューンナップ スタート」
[言葉は一言だけ。それに応じた異界龍が、バレンの左腕でカシャカシャと音を立て始めた]